第2回 「子育て世代が思う少子化」に関する調査
子育て世代が思う「少子化」とは?
出会いのなさ、働く女性が増えたこともあり晩婚化や高齢出産・不妊、仕事と育児の両立などが大きく起因していることが今回の調査で浮き彫りとなりました。
経済的な支援だけではなく、今の時代にあわせた国をあげての環境整備が必要と言えます。
厚生労働省の発表によると、令和4年度の出生数は、79万9,728人で1899年の統計開始以来初めて80万人を下回り、過去最少となりました。
第1回目の調査では、約4割の方が産みたくても産めない現状であり、少子化理由は「経済的な不安」「仕事と家庭の両立困難」とであることが分かりました。
今回、第2回目の調査では、少子化の原因を深堀りすべく、「結婚」「出産」「育児」の各ステージにおける実態調査を行いました。
※2023年4月12日~同年4月17日の間、全国1158名の妊娠中または産後の女性を対象
※ハーゼスト株式会社が提供する「Babyプラスアプリ」によるweb調査
約半数がライフプランと比べ結婚年齢が遅い、約6割が第一子出産年齢が遅い
第一子出産が遅い理由は、妊娠するまでに予定より時間を要したから
少子化対策には支援や制度だけではなく、社会全体が子育てを応援する風土の醸成
調査結果の詳細は次の通りです。
結婚した年齢は「ライフプランより遅い」と回答した方は半数。
近年では女性の社会進出に伴い結婚年齢も上がっており、少子化の要因として、晩婚化、晩産化もあげられます。
そもそも、女性たちが思い描いていたライフプランと、実際の結婚年齢とではどのくらいの差があるのでしょうか。
今回の調査対象1158名のうち、既婚者および入籍予定ありの方に、ライフプランと比較した実際の結婚タイミングをヒアリングしたところ、半数の方が「ライフプランより遅い」と回答。
ライフプランでの結婚年齢と、実際の結婚年齢については次に記述しております。
ライフプランでは20代に結婚予定。実際には30代で結婚されている方が多数。
計画では早くて20代前半、そして30歳ごろまでに結婚されたいと思われていた方が殆ど。
しかしながら、実際の結婚年齢では、20代後半から30歳までが多く、続いて30代、40代と続きます。
計画では30代、40代で結婚を計画されていた方はほぼおりませんが、実際には全体の約3割の方が30代、40代で結婚されており、計画と現実が乖離していることが分かります。
結婚が遅れた1番の理由は「出会いのなさ」。結婚よりも仕事を優先したと回答した方も。
結婚がライフプランよりも遅れた理由として、「仕事に専念したためなかなか出会いの場がない」 「パートナーがなかなか結婚を考えてくれない」 「キャリアのことを考え結婚に踏み切れない」「結婚に対する経済的な不安」といった回答が目立ちました。
ひと昔前と比較し、景気の低迷、非正規雇用の増大、女性の社会進出といった環境の変化より、出会いそのものの機会の減少、結婚に対するハードルの高さが伺えます。
自由回答(一部抜粋)
・仕事、職場の行き帰りで自分で動かないとなかなか出会いがない。 よほど自ら結婚したいと思わないと、行動しないと思う。 まわりも独身が多いと遊ぶ友達も多いし、今は男性の年収も地方だとそんなに多い人も少ない。 (37歳 会社員)
・給料があまり高くなく、奨学金の返済も重なっていて、あまり結婚というのが想定できなかったため。 30歳を越え、やっとキャリア的にも給与的にも安定し、奨学金を繰り上げて返済が終わったこともあり、心情的に余裕ができたので結婚に対して前向きになれた時に、ちょうど主人と出会えたので結婚を決めた。(35歳 会社員)
・子供の頃は20歳で結婚するようなイメージだったが、そんなことは現実ではなかった。大学に5年在籍し、社会に出るのも遅かったし、社交的な性格では無かったので人と出会う機会が少なかった。幸い素敵な人と出会えたが、そこからお付き合い、同棲とゆっくりステップを踏んでの結婚になった。(31歳 会社員)
・夫が結婚は30代に入ってからでもいいのではという考えだった。(34歳 保育士)
・結婚したいと思える相手に出会えた年齢が遅く、相手が結婚に踏み切るタイミングも遅かった(33歳 パート・アルバイト)
・奨学金の返済があったことと、結婚したいと思える相手との出会いがなかったため(32歳 専業主婦)
・職業柄、就職後数年は地元から離れた地での勤務となり、地元に帰って結婚したかったため婚活になかなか踏み切れなかった。(公務員 36歳)
・同棲して4年経っても、友人がまだ独身だからという理由でまだ結婚しなくてもと言われた。(36歳 専業主婦)
・お互い結婚=子供と考えていたので、その当時はお金がなく結婚に踏み切れなかったため。また2人の時間も楽しめていたため。(28歳 パート・アルバイト)
出会いは「学校や職場」が最多。「SNSやマッチングアプリ」による結婚もスタンダートな時代に。
結婚の遅れの理由に「出会いのなさ」の回答が多くありましたが、結婚されている方はどのようにパートナーと出会ったのでしょうか。
パートナーとの出会いの1位は、「学校や職場」といった自身の生活圏での身近な出会い。注視したいのが2位の「SNSやマッチングアプリ」。コロナ禍により、以前より出会いの場が少なくなりましたが、共通の趣味や価値観が合うパートナーを今や「SNSやマッチングアプリ」で探すことは当たり前の時代になったと言えます。このような今の時代に合った若者たちに受け入れられる、「新しい出会いのスタイル」が、結婚したいと思う若者を増やす一助となるのかもしれません。
家事は圧倒的に妻の仕事。妻は1日2時間、夫は30分。
ひと昔前に比べ、イクメンパパという言葉ができたり、意欲的に家事育児をこなすパートナーは増えてきているようですが、調査結果によると妻の家事に費やす時間は「2時間が最多」、パートナーの家事に費やす時間は平日は「30分以内が最多」、休日は「1時間」と、妻とパートナーにはまだ差がある状況です。
また、平日と休日を比較すると、妻もパートナーもともに家事に費やす時間が長い傾向があり、平日は仕事により最低限の家事を、休日に家事をまとめて行う傾向があると推測できます。
第一子の出産は「ライフプランより遅い」と回答した方が7割。
前述の通り、結婚が自身が思い描いていた年齢より遅い傾向により、第一子出産年齢も「ライフプランより遅い」と回答した方は全体の7割。
第一子の出産年齢が遅くなれば、女性の体として産みたくても出産できる年齢の壁もあり、第二子、第三子の出産をあきらめる方もいるはずです。
ライフプランでの第一子出産年齢と、実際の出産年齢、また出産年齢が遅れた要因についての調査結果は、次に記述しております。
ライフプランでは第一子の出産年齢は20代後半。実際の出産年齢は27歳から35歳に集中。
第一子の出産年齢について、ライフプランの年齢と実際の年齢ではどのくらいの差があるのでしょうか。
ライフプランでは20代後半には産みたい、産む予定だと思っていた方も、実際には30歳前後に第一子を出産されている傾向にあります。結婚の遅れにより出産もライフプランより遅れたことも一因かと思いますが、他にどのような弊害により出産タイミングの遅れが生じたのでしょうか。
第一子出産が予定より遅かった理由の一つに、「妊娠を望むもなかなか授からなかった」。
前述の通り、ライフプランより結婚が遅れたことが第一子出産の遅れにも起因しておりますが、「子どもは欲しいがなかなか授からない」といった回答や不妊に関する理由が多くありました。
自由回答では、「不妊治療を始めるにも、始めてから妊娠するにも時間を要した」「仕事をしながら不妊治療は難しい」「妊娠に対する認識が甘い、もっと簡単に妊娠できると思った」という意見が目立ちました。女性が自身の体や妊娠についての教育や、不妊治療そのものの環境や体制の見直しも必要かもしれません。
自由回答(一部抜粋)
・妊娠しても流産が続いたため病院受診などに時間がかかった。結婚妊娠とキャリアとの両立は女性にとっては、至難の技だと思う。女性の負担が大きすぎる。(40歳 パート・アルバイト)
・フルタイムの仕事を辞めて、やっと不妊治療にふみきることができた。(38歳 パート・アルバイト)
・結婚後、すぐに不妊治療をはじめたが、身体的、経済的負担の大きさから1年半で中断。その後3年ほど、社会的養育も含めて夫と話し合う時間を持った中で自然妊娠しました。(35歳 公務員)
・産休育休を取ったら、キャリアに大きく影響することが怖かった。(37歳 公務員)
・普通のレディースクリニック→近場の不妊治療クリニック→不育症クリニック→都内大手不妊治療クリニックと、妊娠・出産にたどり着けるまで時間がかかった。(37歳 会社員)
・本当は子どもが複数欲しかったので、一人目は20代で産みたかったが、仕事やキャリアを優先するとどうしてもそのタイミングでは結婚や出産は考えられない(32歳 会社員)
・パートナーが金銭的なことを気にして、子供作りに積極的ではなかった。(38歳 会社員)
・ 不妊治療を始めるまでに時間がかかった。仕事を優先したことと、そこまでして子供を授かろうという気にならなかったため。(37歳 会社員)
・なかなか授からないが、職場に不妊治療を話すことがいやでステップアップを躊躇した(30歳 会社員)
・妊娠に対する認識が甘く(年齢など)、そこまで危機感を持ててなかった。もっと早く知っていれば、結婚も妊活も急ぐ(焦る)ことをしていたかも。(40歳 専業主婦)
・物価が上昇するが世帯年収は変わらず、子供手当や出産一時金も少ない。 学費など子供の将来のことを考えると、妊娠出産することへのハードルがたかく感じた。 夫婦二人の時間をたくさんとりたかったために、ライフプランよりは遅くなった(29歳 専業主婦)
妊娠するまでに2年以上要した方は、全体の4割。不妊治療は全体の3割。
第一子出産の遅れについて「子どもは欲しいがなかなか授からない」方が多数という結果でしたが、妊娠するまでに「2年以上も要した」方は全体の4割も。
一般的に不妊とされる期間の定義は「1年」。全体の4割もの方が不妊に該当していることとなります。
「1年以内ですぐに妊娠できる」ことは決して当たり前ではありません。中には妊娠するまでに何年もの長い不妊治療を経てようやく待望の我が子を妊娠できることもあることを、若い世代が知っておくべきではないでしょうか。
分娩する病院選びのポイント 1位は通院のしやすさ、2位は医療面。
無痛分娩を希望して選んだという回答も目立つ。
妊娠、出産する女性にとって、分娩する病院にはどのような点を重要視しているのでしょうか。
やはり1番は緊急でもすぐにかけつけることができる距離であること、続いて持病や高齢を理由に医療体制が充実しているところ、そして出産費用や無痛分娩を重要視する声が多くありました。自由回答では無痛分娩を希望するコメントが多く見受けられ、高齢のため母体への負担を少しでも軽減されたいという声が目立ちました。
自由回答(一部抜粋)
・卵巣嚢腫治療時に入院した病院でも分娩を行なっていて設備もしっかりしていたが、不妊の治療や高齢の患者もいる環境のため、産婦だけの病院の方が安心感がある(32歳 自営業)
・遠方の病院だと緊急時にすぐに駆け込めない。夫には立ち会いをしてほしい。出産がトラウマにならないためにも、入院中の食事や産後のケアは重要視している。(28歳 公務員)
・妊婦健診の段階から自己負担が出るのが当たり前なので、その後の生活も見据えて健診・分娩費はよく調べました。一方で命懸けの出産をした自分に対してのご褒美という意味で、食事が充実しているかにも注目して産院を選びました。(35歳 公務員)
・ 24時間、無痛分娩対応の産院以外考えていなかったので、必然的に絞られた。 金額は高いが、背に腹は代えられないので家から1番近い場所で医療的にも安心な場所を選んだ。(35歳 会社員)
・初産の年齢が30代後半になってくると、分娩に時間がかかる傾向が多く、母体に精神的苦痛や肉体的苦痛が多くなりがちで、 出産するという経験が苦痛なものにならないように自然分娩ではなく無痛分娩もしくは和痛分娩を実施している産院を選びたかった。 (41歳 専業主婦)
・家から近い方が何かトラブルがあった時に安心で、持病がある為医療体制が整っている病院の方が安心して出産出来るから。(33歳 専業主婦)
・第一は出産の安全面、第2にコロナ時代の為立ち会いは期待しないので、美味しい食事を食べたかった。(37歳 専業主婦)
・産後の体力も考え無痛分娩が選べて通院しやすい病院が1番優先で考えました。主治医との相性や医療面も心配だったので病院のホームページでしっかり確認しました。(パート・アルバイト)
・家からの距離の近さは、陣痛が始まったらなるべく早く病院に着きたかったから。 費用についてはかかるものはしょうがないと思ったが、選べるなら安い方が良かったから。 分娩方法は、できたら自然分娩をしたかった。 家族が立ち会いできるかどうかはかなり重視した。(30歳 会社員)
(参考)妊娠・出産し、産婦人科や小児科を受診する上で、心配なことや先生に聞いてみたいこと
自由回答(一部抜粋)
・何度も流産を経験しているので、妊娠したがまだ喜べない。不安ばかり募る。日常の生活で注意する点など気になる。(41歳 パート・アルバイト)
・子どもがかかりやすい病気やその対処法、よくあることと滅多にないこと、などの事例を聞いてみたい。(34歳 会社員)
・子供の発達について心配なので、どのくらいが正常の範囲なのか知りたい。また、怪しい情報が溢れているため、正確な情報の得方を知りたい。(28歳 教育関係)
・妊娠糖尿病と診断されたので、今後の妊娠の経過と産後の健康維持について、丁寧に診ていただきたい。(37歳 公務員)
・(切迫早産になって思うと)お腹の張りは気になっていたが、ネットの情報で「横になって治ったら大丈夫」「出血や痛みがなかったら大丈夫」を信じすぎていたため、些細なお腹の張りについて最初から聞いておけば良かった。前触れもなく即入院は心の準備ができていなかった。(26歳公務員)
・年齢が高くなり、出産が体力的に大丈夫か不安がある。あと2ヶ月あるがお腹の張りなどで痛みがあり不安がある。(36歳 専業主婦)
・まだ先の話ですが、夫がアレルギー体質の為、子供にアレルギーがあるかどうかを判断するタイミングや、方法を早めに知っておきたいかなとは思います。(29歳 会社員)
・妊娠中の第2子が逆子なのが心配。第1子も逆子でハラハラしたのでなるべく早く治って安心した妊娠期を過ごしたい。(30歳 会社員)
・胎児の週数毎の平均値や、妊婦のいろんな平均値データを教えて頂けると安心できます。 また、お腹の張りや不調があった際に皆がどれくらいなのかがわからず不安なので、どの程度の感覚や痛みがどれくらいの頻度や時間・量で出てしまうと病院に行くべき目安なのか知ることができると嬉しいです。(32歳 会社員)
・高齢なので、その分のケアや気をつけることなど(42歳 公務員)
・妊娠当時はつわりがひどかったので、なんとか和らげないかを聞きたかった(32歳 教育関係)
子育てで重要視することは、1位は「子どものための施設」、2位は「治安の良さ」、3位は「医療施設の充実」、続いて「通学・通勤の便利さ」「自治体の支援制度」。
政府が年頭に掲げた「異次元の少子化対策」として、 「児童手当の拡充」など経済的な支援が検討されております。
経済的な不安をなくすためには支援強化も必要ですが、抜本的な解決のためには、「子供を育てやすい、子供に優しい」国であり、環境にするために何をすべきかを政府も国民も考えることが必要ではないでしょうか。
今回の調査では、「今の世代が考える子育てする上で重要視すること」をヒアリングしました。
「子どものための施設」や「地域の安全性」、「医療施設の充実」など、子どもが健全に安心して過ごすことができる環境であること。また、「通学・通勤に便利」「職場の近くに保育園がある」等の意見も多く、働きながら子育てしやすい環境も重要視されていることが分かります。
自由回答(一部抜粋)
・子育て世帯の多い地域を選択した(35歳 医療関係)
・自身の生まれ育った場所は治安が悪く、暮らしていて不安なこともあったが、今暮らしている場所は治安が良くて支援も手厚く、自治体により違いを感じている(32歳 自営業)
・公園や買い物する場所が近いと、子供と行きやすいので外に出る機会が増えた(36歳 専業主婦)
・毎日の散歩、買い物、緊急時の受診に無理がないか。仕事復帰しやすいか、家族のサポートがあるか。子育てする上で重要だと思うから。(35歳 医療関係)
・夫婦2人で子供3人を育てるのはしんどい。気軽に定期的に借りられる大人の手がほしい。 子育て世代が多いと周囲も子育て向けの施設が増え、子供がいることが普通になるので暮らしやすい。(34歳 産休中)
・自治体の子育てサポートが充実していることはかなり心理的不安の軽減に繋がる 近隣コミュニティや治安も子供を育てる上で欠かせない(37歳 専業主婦)
・保育園はお迎えに便利な会社から近い方がよく、学校は子ども一人で登校するので家から近い方が望ましい。(36歳 会社員)
・子供には自然豊かな場所でのびのび育ってほしい。また、昔と違って今は核家族なので、地域のサポートも充実していてほしい。(37歳 会社員)
・育児と仕事を両立するため、 最低限自宅と会社が近く通勤時間を可能な限り減らし、延長保育や学童等の子育て支援のある地域でなければ職場復帰が難しいと考える。(30歳 会社員)
仕事と家庭の両立には、職場の理解、保育園や学童の充実、パートナーの教育が必須。
調査対象者のうち、8割超の方が就業しており(パート・アルバイト含む)、結婚し子供を育てながも仕事をされる女性が大半の世の中です。しかしながら、前回の調査においても仕事と家庭の両立支援を求める声が非常に多く、今回の調査では仕事と家庭の両立のために、どのようなことが必要なのかを具体的にヒアリングしました。
「職場への理解を求める声」は非常に多く、妊娠中、不妊治療中、育児をしながらの就業はいかに大変かとの自由回答が目立ち、子どもがいないときのような働き方をすることは現実的に困難であることが明白となった結果でした。
職場の理解だけでなく、保育園等の充実、パートナーの協力など、制度や支援を整えるだけでなく、周りの人々の環境や価値観が「子どもに優しい、子育てに理解ある」ことが大切なのではないでしょうか。
自由回答(一部抜粋)
・育児家事はフルタイムであっても女性がするのは当たり前という考え方の人が多すぎる。考えや行動を変えないと女性も快く妊娠出産共働きを前向きに考えづらい(30歳 医療関係)
・子育て世帯への給付などではなく、保育園や小学校、中学校の保育士・教師への待遇改善をお願いしたい。人気の職業になり、余裕ができれば、虐待なども起きないと思うし、教育の質が上がると思う。切に願っている。(32歳 会社員)
・職場の理解が足りない。育児は分担できるが、出産は分担できない。妊娠中に働く負担は大きい。産前休暇がもう少し長く取れるようになると良い。 男性の育休の取得自体は増えているとは思うが、女性と同様の期間(最低1年)取れるようにならないと「育児は女の仕事」という考えが抜けないのでは。(32歳 会社員)
・働きたくても、保育園が落ちたという友人もいる。 親が近くに住んでいるとかそういう状態じゃないと女性が仕事に復帰するのはなかなか難しい(37歳 会社員)
・働きながら子育てすることは1人で二役するようなもので、夫や家族の理解、周囲の理解が必要(27歳 医療関係)
・1番はパートナー。自分1人の子供ではないし同じように働いてる分、同じ家事をすべき。そして、理解がないとフルタイムで戻れない。(33歳 会社員)
・結局制度が見直されても会社の理解度によって両立は難しいと思う。 また、出産しても働きたいのは、単純に社会とのつながりを断ちたくないのもあるが、先の見えない経済的不安があるから。(29歳 会社員)
・育休1年で、教育無償化3歳からという制度に疑問。自分の場合、社員で続けたかったので復職したが、3歳までの2年間、何のために働いてるのかわからないくらいしんどい。(33歳 会社員)
・妊娠出産がキャリア形成の足枷になっている 産休に入るまでの妊娠期間や短時間勤務の間は、どれだけ頑張っても何の評価もされない 短時間勤務の場合給与も下がるが、夫の働き方によっては、短時間勤務をせざるを得ない(31歳 会社員)
結婚したい人が結婚でき、子供を産みたい人が産める社会の実現には・・・
子育て世代が考える「少子化に対する意見や解決策」を調査したところ、約900件の回答を回収。
結婚のタイミング、または結婚・未婚、子どもを産む産まないは個人の選択であり強制できるものではありませんが、共通して出ている意見は「結婚したい人が結婚でき、子供を産みたい人が躊躇せず産める社会」であることです。
金銭的な理由で婚期や出産が遅れることはもちろんありますが、そもそも若年層からのキャリアやライフプラン、マネーに関する教育が不十分であるとの指摘も多くありました。
社会全体が子育てを応援する風土がなければ、せっかくの支援や制度も十分に活用されず、高齢化社会における子育て世代の肩身は狭いままなかなか現状を回復するに至りません。
子育て世代からの主な意見は次の通りです。
主な意見
- 中高生からのライフプランや結婚・キャリア・出産適齢期に関する教育が必要
- 個人の結婚や出産の選択は尊重する上で、結婚や子育てのマイナスイメージを増幅するメッセージではなく、
楽しく幸せなことであるという前向きな情報の発信 - 地域差なく、日本中どこでも子育てしやすい環境であること
- 育児は女性の仕事ではなく、パートナーと一緒にするものであることが、社会全体の風土になること
- 子育てをしながらでもキャリアアップ、再就職が可能な社会
- 晩婚化に伴い不妊治療を行うカップルへ経済的支援だけでなく、職場や周りの理解があること
- 保育士等の待遇改善
- 妊娠・出産・育児に対する経済的支援
- 出会いの機会創出
- 婚外子、シングルで子育てする方への制度や支援
自由回答の一例(一部抜粋)
・定年を過ぎた方は、孫くらいの子どもを看る機会をもったら良いと思う。 出産も早く保険適応にしないと若者への負担は大きい。教育も多種多様化していて柔軟に対応できる。人材育成が必要。 子どもの頃から出産についてメリットデメリットを学ばなければ、後悔すると思う(40歳 専業主婦)
・若い人への教育が大切。 まず、妊娠には年齢制限があることを中高生の性教育の際に伝えるべき。また、価値観の多様性も大切だが、結婚して家族が増えることもとても素敵なことであることをもっと教育で伝えても良いと思う。 環境支援や経済支援のほかに、価値観に訴える施策も必要。(40歳 会社員)
・女性には出産の適齢期などがあることや出産の大変さなどを学生時代から教えるべきだと思う。(41歳 専業主婦)
・若い世代に「夫婦や親子、家族の幸せエピソード」や「パートナー、親、こどもに感謝したいこと、してることエピソード」を集めて発信するのはどうかなと思いました。中学校高校大学で生の声を届けたり、ぶっちゃけ質問会とかも楽しそうだと思いました。年齢問わずマネーリテラシーを養う教育(35歳 専業主婦)
・遅くても就職する頃までには、女性は妊娠できる年齢に限りがあることを知った上でキャリアプラン・ライフプランを考えることができるようにすること。(34歳 会社員)
・子供を産み育てることへの不安が増幅するような情報、ニュースばかりが目立つ一方、その解決策や得られる支援などの情報を安心した状態で知る機会はあまりにも少ない。 日本のマスメディアの情報の取り扱い方、問題解決的な姿勢の欠如が子供を産み育てることへのマイナスイメージを更に増幅させているように思う。(37歳 専業主婦)
・思考は環境にある程度左右されるため、企業が男性の育休取得を快く容認する文化醸成が重要だと思う。それがなされれば、もともと意思ある男性だけではなく、意思はあるがやりづらいと感じていた人、まったく興味のなかった人、なども徐々に行動できるようになると思う。(34歳 会社員)
・専業主婦を前提とした企業風土と税制が大問題であると思う。男性は残業して当たり前、家では専業主婦がいて家事はしない、というモデルは崩れている。早急に見直しをお願いしたい。子どもを産まない選択をしているのではなく、結婚できない、産まない、産めても希望の人数を育てる余裕がないというのが、現実だと思う。(32歳 会社員)
・働く女性、とくにキャリアアップを目指す人が増える中、結婚や出産によって就業が制限されたり評価に影響しキャリアに支障が出ることが問題。そのため結婚も出産も「ある程度出世してから」となり、時期が遅くなり少子化に繋がっていると考える。(32歳 会社員)
・女性の社会進出に、社会保障制度を含めおいついていないと感じます。 今後より人口減少、働き方の多様化があるなかで女性の労働は必要になるかと思いますが 大学卒業後に就職をして生活をしていく中で、これまでの生活を変化させてまで結婚や子供を産む事に意味を見出す事ができなければ 行動に移さないと思うので 結婚、出産をしても社会生活に隙間を空けない工夫が必要だと感じます。 また晩婚化、晩産化の背景には仕事がひと段落してから。や、結婚・出産をしても会社に戻れるポジションを作ってから。という事を考える人も多いと思うので 男性と同じスピードで社会生活をしている事も原因だと思う。(34歳 会社員)
・キャリア志向の私みたいなタイプには、子育てが大変という趣旨の情報があまりにも多過ぎました。もっと仕事と子育てを両方どう楽しんで充実した生活を送っているか、等前向きな情報が欲しかった。(39歳 会社員)
・女性の社会進出を推進する上では未婚・晩婚は仕方がないと思う。若いうちのキャリアアップだけでなく、子育てがある程度落ち着くタイミングでのキャリアアップ・再就職等がもっと簡単になればいいと思う。 (28歳 会社員)
・結婚や出産をするということは自分中心の生活から家族中心の生活に変わるということ。仕事をしている女性の中には、今の自分のキャリアや年収、環境等と結婚生活を天秤にかけた時に、仕事をしている今の環境の方が勝っている人も多いのではないかと思う。(36歳 公務員)
・大学進学、就職のタイミングが結婚や出産に一番適した時期だと思う。北欧みたいに、子育て後でも、大学に行きやすかったり、キャリア形成しやすい環境がいいと思う。(34歳 会社員)
自由回答の一例(一部抜粋)
・晩婚化により不妊治療が必要な人が増えるので、仕事を続けながら治療に通いやすくなること、出産と育児について職場の理解が進むと働きやすいと思う。(34歳 会社員)
・結婚に踏み出すのが遅くなると、それだけ女性は妊娠する可能性も低くなってきます。 もっと不妊治療をしている女性に優しく、職場でも急な受診に対応出来るようになっていけるといいです。あとお金が本当にかかりました。今は保険適応になっていると思いますが…お金も精神面も辛い方が多いと思うので、もっと手厚いサポートが必要だと思います。(34歳 保育士)
・保育園の数または保育士の不足により、自宅や、職場から遠い保育園に入れざるを得ない状況は共働きの親にとってかなり負担。 保育園、小学校に通うこどものお迎えのために、残業できない状況を受け入れてもらえる環境にならないと、仕事を続けながらの子育てを諦めるしかない。結果的に経済的にも苦しくなり子供を複数もつことは諦めるのではないか。(32歳 会社員)
・保育士や介護士、デイケアセンター職員、学童職員の待遇改善をして、誰もがどんな時でも安心して子育てができる環境を作らない限り、未婚は進むと思う。(25歳 会社員)
・経済的な問題。 結婚も子育てもお金がかかるため 必要性を感じない人や金銭的な理由から諦めなければいけない人もいる。今は若い世代より 高齢者の支援の方が手厚いように感じられるが将来のことを考えると子育て世代への手厚い経済的な支援、対策が必要。(31歳 会社員)
・子供が成人し、親元から離れるまで責任が伴う為、学費の免除、医療費の免除等、継続的な政策が必要であり、子供を産んでも成人するまで経済面で安心と思えない限りは、少子化は挽回できないのでは?と思います。 給与面では、大企業に勤める方は給与が上がったと報道されていますが、日本は中小企業が大半の為、今のままでは何も変わらない。(36歳 会社員)
・日本の医療制度は手厚いが、今の世の中このままの医療制度では国が破綻すると思う。 また、ほとんどの病院は赤字経営で医療スタッフは見合ってない賃金で残業も多く、理不尽に振り回されることも多いため、医療者が減る一方。 日本はまだまだ男性が主体的に家事育児に参加できていないため、もっと男性の意識改革を進めるべき。(27歳 医療関係)
・妊婦健診について保険適用にしてほしい。補助があるにしても実際お金がかかるのでふつうにきついです(33歳 会社員)
・不妊治療費を全て保険適用にする、助成金も出る、極端に言えば無料にするぐらいの思い切った政策があれば、もっと子どもを望む人たちが妊娠出産を進めることができるのではないでしょうか。また、働きながらの不妊治療は過酷を極めます。私も好きだった教職の道から離れることを決断しました。不妊治療のための休業(病休)が一年間でも取ることができれば、私は給与がその間なくなったとしても迷わず病休を取ったと思います。そのような制度が職場にできれば…と何度願ったか分かりません。(34歳 専業主婦)
・行政の支援に地域格差がありすぎる。子育てしやすい地域に誰しも住みたいはず。しかし、そのために引っ越すなんてことは実際には難しい。だからこそ地域格差をなくし、全国どこででも同じように子育てのしやすい政策を国がしていかないといけないのではないかと感じる。(29歳 専業主婦)
・婚姻時の選択的夫婦別姓の導入、同性婚の法制化、婚外子を差別する法律の是正、シングルで子育てをする人への支援等、今まで「正しい家族の形」として認められてこなかった形を「正しい家族の形」の中に入れることで、制度上、子どもを持ちたい・養育したいと望みながらできずにいた人を減らすことができるのではないか。また、それらの制度の変更とともに社会の「正しい家族の形」への認識を変えていくことで、結婚と出産を切り離し、結婚せずとも出産や育児をしたいと思える人を増やせば、晩婚化による晩産化は防げるものと思う。(35歳 専業主婦)
・安い金額でも出会える機会を増やしてほしいです。結婚相談所とかだとお堅い感じがしてなかなか腰が上がらない人もいると思うのでお見合い形式だけど大型施設等を使って出会える場所を増やしてほしいです。(32歳 専業主婦)
まとめ
4月からは出産育児一時金が42万円から50万円へ引き上げられ、今後、「児童手当の拡充」をはじめとする様々な支援が検討されています。
少子化の一因に、晩婚化、晩産化があげられます。そもそも出会いがないこと、女性の社会進出に伴い自身のキャリアの考慮や、経済の低迷から金銭的な不安により結婚も出産も後回しにするカップル。結婚や子育てに良いイメージを持てない若い世代、そして子育てをしながら働くことが難しい世の中。
産みたくても産めない理由は実に多く、経済的な支援や制度だけでは抜本的な少子化の改善に繋がるものではありません。
現子育て世代への支援はもちろん必要ですが、特にこれからの時代を担う若い世代が、将来、結婚や子育てを楽しく幸せなものだと感じてもらうために、社会全体が「子供に優しく社会で子供を育てる」風土をいかに作っていくかが重要ではないでしょうか。
調査概要:第2回「子育て世帯が思う少子化」に関する調査
調査主体:一般社団法人マザーアンドチャイルド協会
調査方法:ハーゼスト株式会社が提供する「Babyプラスアプリ」によるWeb調査
調査期間:2023年4月12日~同年4月17日
回答者数:妊娠中または出産後の女性1158名